胃潰瘍の症状

胃潰瘍のガイドラインには、「胃潰瘍の症状として疼痛は2/3以上に認められるが、上腹部に限局していることが多く、その痛みの性状としては、鈍い、疼くような、焼けるような痛みであり、一般に持続的である。食事と疼痛との関係は強く、胃潰瘍では胃内容が排出される60〜90分後に疼痛をきたすといわれているが、十二指腸潰瘍に多いとされる空腹時痛を呈することも少なくない。」とあります。

胃潰瘍は、何らかの原因で胃酸やペプシンが胃の粘膜まで消化してしまい、胃に傷ができたり穴があいたりした状態を言います。この発症過程から、胃潰瘍は消化性潰瘍と呼ばれることもあります。粘膜に傷がつくと潰瘍が粘膜の内側になる筋層にまで達し、ひどくなると胃壁に穴が開いてしまいます。

胃潰瘍には、急性潰瘍と慢性潰瘍とがあり、それぞれ症状や胃の粘膜の様子が異なります。急性胃潰瘍は、胃の痛みや胸焼けが突発的に起こります。ひどくなると、一度に大量の出血を起こす場合もあります。今まで胃潰瘍に気がつかずにすごしていて、いきなりの吐血で胃潰瘍に気づくこともあります。 慢性胃潰瘍は、胃や背中などの痛みが慢性的に起こるもので、特に痛みが空腹時に起こるのが特徴です。そのため夜中に痛みで目覚めることもあります。

胃潰瘍の症状では「腹部の上方の痛み」がよく言われますが、そのほかにも背中の痛み、体重の減少、食欲不振、吐血、下血、胸焼け、胃もたれなどたくさんの症状が見られますし、逆に検診が発達したことで偶然発見された全く症状の出ない胃潰瘍も多く見られます。内臓疾患のため、症状を自分で判断することはほとんど困難で、同じような症状が出ても胃潰瘍でないこともあるかもしれませんので、まずは専門の医師の検査を受けて、症状に合わせた治療を行いましょう。

胃潰瘍の症状の痛みは、食べ過ぎて胃が痛いという痛みとは、まったく異なる痛みなので、我慢できないほどの強い痛みになる前に、きちんとした治療を始めないと生活に支障をきたすこともあります。なにか胃に今までとは違う痛みなど違和感を感じたらすぐに病院で検査を受けましょう。

胃潰瘍のほとんどは慢性胃潰瘍で、その原因はヘリコバクター・ピロリ菌の感染によるものです。 しかし、ヘリコバクター・ピロリ菌に感染した人がすべて慢性胃潰瘍になるわけではありません。日本人の中高年では、70〜80%の人がピロリ菌に感染していますが、その中で慢性胃潰瘍になる人は約2〜3%の人だけです。 ピロリ菌の感染は、多くの場合、幼少時に起こると考えられており、感染したからといってすぐに胃潰瘍を発症するわけではありません。慢性胃潰瘍の発症は主に50歳代の中高年に多く見られます。感染してから胃潰瘍の発症までには数十年かかっており、ピロリ菌に感染すると、まず慢性胃炎が起こり、その一部が萎縮性胃炎へと進行し、さらに慢性胃潰瘍へと進行するのです。