胃潰瘍とは、胃から分泌される胃酸(ペプシンという成分を含んでおり、食べ物をお粥状に消化したり、外から入ってくる細菌の侵入を阻止するために分泌する強力な酸)と、そのままでは胃の粘膜をも溶かしてしまうほどの強さがある胃酸から胃壁の粘膜を守るために分泌している粘液のバランスが崩れて、自ら分泌される胃酸によって胃粘膜まで消化してしまう病気です。
胃潰瘍は、初期症状は胃壁(粘膜)の表面がただれる程度で自覚症状はほとんどありませんが、胃潰瘍が進行するとただれが傷になり胃壁に穴があいて、痛みを感じたり、場合によっては出血を起こします。
胃潰瘍はさらに進行すると、粘膜の一番下の層からさらに下の筋肉層にまで達します。重度の胃潰瘍になると、筋肉層の下の漿膜層に穴があいて、その穴が胃壁を突き抜けてしまうこともあります。胃潰瘍と似た病気に十二指腸潰瘍がありますが、十二指腸壁も胃壁と似た構造になっているので、胃液と粘液とのバランスが崩れて十二指腸壁が炎症を起こすという、似たような症状になります。胃・十二指腸潰瘍をあわせて消化性潰瘍とも呼ばれています。
胃潰瘍は中年より高年の方に多く、十二指腸潰瘍は若い人のほうが多く見られます。どちらもストレスの影響を受けやすい病気で、以前は男性に多かったのですが、女性が社会に進出することが当たり前になった現代では女性の胃潰瘍患者も増えてきました。
胃潰瘍は神経質な人、几帳面な人、ストレスをためやすい人、気を遣いすぎる人、悩みを一人で抱え込む人、完璧主義者などの人がかかりやすい病気です。その他、食生活によって胃の粘膜が痛んだりしても起こりやすいので、胃潰瘍の疑いがある人はまず食生活の改善をし、専門の医師の診断を受けて早めに治療をはじめましょう。
胃潰瘍は近年ピロリ菌との関係があるのではないかという報告もでてきました。十二指腸潰瘍の原因として、これまでは胃酸による粘膜障害原因とされてきましたが、1983年にピロリ菌の感染が粘膜障害や潰瘍の成因に大きく関与していることが明らかになりました。ピロリ菌は螺旋状のグラム陰性桿菌でウレアーゼ活性を有しており、尿素からアンモニアを産生し、胃の中のpHを中和し胃粘膜に生息している細菌です。ピロリ菌の検査には内視鏡検査下での生検組織を用いた鏡検法や培養法、迅速ウレアーゼ法などがあります。十二指腸潰瘍ではほぼ100%、胃潰瘍の90%以上の患者でピロリ菌感染がみられます。ピロリ菌に感染したからといってすぐに潰瘍を起こすわけではありません。ピロリ菌感染によって胃炎が起こり、それが原因で潰瘍ができやすくなったり、治りにくくなったりすると考えられています。